高齢者施設の防災対策は重要
東日本大震災から3年が経ちましたが、震災の死者のうち約65%が60歳以上だったようです。60歳以上の人口の割合が高いとはいえかなり高い割合です。その事実を受け、公共施設の防災対策が重要視されています。
実際のところ、中~大規模地震は日本全国で起こる可能性があり、地震による火災で多くの人が被害を受けます。有料老人ホームなど高齢者が多い施設で、高齢者を素早く退避させるのは難しく、施設側での防災対策は必須であるといえます。
アンケート調査にみる有料老人ホームの防災対策
2014年2月に、高齢者向けの介護施設紹介事業を行う「あいらいふ入居相談室」(株式会社ザップ 東京都品川区)では、主に首都圏の有料老人ホーム160施設を対象に、「防災対策」についてのアンケート調査を実施しました。※以下データは「あいらいふ入居相談室」調べとなります。
- 調査主体
- あいらいふ入居相談室
- 調査期間
- 2014年1月
- 調査方法
- FAXまたはEメールによるアンケート用紙回収
- 調査対象
- 全国の有料老人ホーム160施設
防災マニュアルについて
大規模震災に備えたマニュアルがあると答えた施設は86%にのぼりほとんどの施設がマニュアルを備えているようです。中でも東日本大震災以降に防災マニュアルを改訂している施設は、160件中134件の約84%だと分かりました。防災マニュアルのある有料老人ホームのほとんどが、東日本大震災以降にマニュアルを改訂していることになります。
備蓄品について
災害時の備蓄品のうち飲料水と食料に関しては、ほぼすべての有料老人ホームが3日分以上保管しているようです。救援物資が届くことを前提にしているので、燃料は78%、オムツは77%と、不要不急な備蓄は「3日分以上」と回答した施設の割合が少なくなっているようです。
防災訓練について
防災訓練に関しては、年2回以上実施していると回答した施設が95%と高い割合となっています。なかには毎月1回の防災訓練を実施している施設もあり、老人ホームの高い防災意識が伺えます。
発電設備について
発電設備に関して、「自家発電のための設備はありますか?」という質問に対して81%の施設があると回答しています。これは東日本大震災を教訓に、介護老人保健施設や特別養護老人ホームへの自家発電装置の補助制度を導入しはじめた自治体が増えたことが起因しています。
災害時は停電が発生し、人工呼吸器や喀痰吸引等の機器の作動に支障をきたします。停電により、老人の命が危険にさらされることがあってはならないので、有料老人ホームの自家発電の設備は、今後必須にならざるを得ないのではないでしょか。
防災対策の改善点について
現在の防災対策を強化し改善する必要があると感じている施設は93%にのぼります。とくに「地域や他施設との連携」や「備蓄・設備面での拡充」と答えた有料老人ホームが多いようです。
特に災害時は、近くの医療施設も被害を受ける可能性が高く、地域との連携がかかせないでしょう。