関節リウマチで起こる関節の変形
関節リウマチの炎症から関節変形に至るまで
関節の炎症が続くと滑膜が増殖し、軟骨や骨の組織を破壊していきます。骨の破壊が進むと関節の変形や機能障害がおこります。関節変形は手足の指に多いため、日常の生活に大きな支障をきたすようになります。変形がはじまると元に戻すのが難しくなるため、変形前の痛みや腫れの症状がでたら早めに治療を開始することが大事です。
滑膜の炎症が関節変形につながる
滑膜に炎症が起こり関節液が溜まると、骨のカルシウムが失われていきます。この時点ではまだ骨の破壊ははじまっていませんが、X線写真を撮ると骨萎縮が見られることがあります。さらに炎症がすすみ、滑膜の細胞が増殖して「肉芽」を形成します。この肉芽の一部は軟骨の表面にとりついて、軟骨を侵食し始めます。そして、軟骨や軟骨の下の骨が徐々に破壊されていきます。
軟骨や骨の破壊が進むと、関節がうまくかみ合わなくなり、脱臼や亜脱臼を起こします。関節の動きが悪くなると同時に、筋肉や腱の伸縮も悪くなるため関節が変形していきます。
やがて軟骨が完全になくなると、さらに関節は変形しやすくなり、二つの骨が完全にくっついて関節を動かせなくなったり、逆に骨と骨が離れて不安定な状態になるのです。
関節リウマチによる手の指の関節変形
- ボタンホール変形(ボタン穴変形)
- 指の第二関節の炎症によって起こる変形で、第二関節が内側に曲がり第一関節が外側にそります。腱が縦に裂けた裂け目から第二関節がボタンの様に出てくることからボタンホール変形と呼ばれます。
- スワンネック変形
- ボタンホール変形とちょうど逆方向で、第二関節が外側に、第一関節が内側にまがります。指が内側に曲がらなくなるため、つかんだり握ったりという動作が不自由になります。
- 尺側偏位(しゃくそくへんい)
- 親指以外の4本の指すべてが、付け根の関節のずれなどで小指方向(尺側)に曲がります。
- Z型変形(親指)
- 親指の関節が外側にそり、「Z」の字の様に変形します。
関節リウマチによる足の指の関節変形
- 外反母趾
- 足の親指の先が内側に曲がり隣の指の下にもぐり込み、親指の付け根が外側に出っ張ります。
- ハンマー足指
- 親指以外の4本の指が親指方向に変形し、浮いたような形になります。外反母趾と同時に起こりやすい変形です。
リウマチの関節変形は元に戻らない
関節リウマチの関節変形はひとたび始まると元に戻らない「不可逆性病変」といえます。しかも年々進行し、日常生活に支障をきたします。そのため、関節変形の予防や進行を遅らせる為にも早期発見、早期治療が大事といえます。